世界史の糸

レオナルドやエジソンにはなれないけれど

ジェネラリストでもスペシャリストでもない、一教師の試行錯誤の記録。旧ブログ名:世界史の糸から改題しました。

未実践:ハイチ革命

未実践の資料問題。
 

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ハイチ独立の指導者、トゥサン=ルヴェルチュール 『詳説世界史B』山川出版社、272p
 
問1 Y字チャートを用いて、絵を分析せよ。

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問2  ナポレオンの肖像画(『アルプスを越えるナポレオン』)と比較して、それぞれの画家が、絵を見る者にどのような印象を与えようとしているのか、考察せよ。
 
 
  • 教員のねらい
 絵画に何が描かれているかは教科書のキャプションにも説明があるため、この実践では作者の意図や、絵画の内容と時代背景との関連性を生徒に意識させることをねらいとした。
 問1において、こちらから観点を定めることで絵画資料の分析の焦点を誘導し、問2の布石としている。問2において、絵画の作者の意図を推測する作業、およびフランス革命~ナポレオンの時代という背景に、この絵画がいかなる影響を受けているかを考えさせる。
 私の今までの実践において、絵画資料の読み取りは、描かれているものが何なのかという、極論すれば一問一答ないしクイズ的な作業になりがちであったが、この問題ではより史料批判に軸足をおいたものを目指している。こうした分析を生徒に繰り返し実践させることで、生徒は自分から絵画を作者や時代背景を含めて分析するようになる…と期待している。
 個人作業でもいいが、できればグループワークで、いろいろな意見や見方に触れて視野を広げてほしい。問2に取り組むことで、問1の分析がより深まることが予想されるため、問3としてもう一度Y字チャートに取り組ませるのもよいかもしれない。もしくは文章で問1・問2をまとめて論述させることも考えられる。
 ただ、この絵に関しては私自身まだ教材研究を深めていないため、生徒に確固たる情報や代表的な解釈を提示できないでいる。それもあって昨年度、授業での実践を断念した。必ずしも「解答」を生徒に示す必要はなく、この史料に関してはむしろ生徒の解釈の可能性を狭めてしまうおそれもあるのだが、いずれにせよもう少し研究して、ぜひ実践してみたい。
 Y字チャートと作者・時代背景の分析という手法は、比較的汎用性の高いものであると思うので、ほかの題材・史料による問題づくりもどんどん挑戦したいところである。