世界史の糸

レオナルドやエジソンにはなれないけれど

ジェネラリストでもスペシャリストでもない、一教師の試行錯誤の記録。旧ブログ名:世界史の糸から改題しました。

授業実践:近現代統計資料の読み取り

問 以下の図表は、教科書308~310ページの記述のどの部分の説明に用いられるべきか。該当部分を枠で囲め。

問 いずれか一つの図表を選べ。その図表における数値(数値の変化)について、教科書の記述を参考にして班員に説明せよ。

*309ページ「ヨーロッパからアメリカ合衆国への移民(1870~1900)を参考にせよ。

*文例:図表〇〇における、19世紀半ばから20世紀初頭にかけての□□の数字が大きくなっているのは、~(教科書の記述)という当時の状況を反映している。

 

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出典:川越修他『ワークショップ社会経済史』ナカニシヤ出版(2010)8,24pp.

 

 

  • 対象学年 3年生
  • 想定所要時間 20分
  • 教員のねらい
教科書本文の抽象的・一般的記述内容を、統計資料によってより実証的に把握させる。
  • 想定難易度
 
ページ範囲の指定や作業の具体例を挙げるなど、かなり丁寧に下準備をしたため、難易度はそれほど高くないはずである。
 
  • 実践してみた結果
こういった統計資料の活用は初めてだったため、念には念を入れ、資料の一つを用いて教員が作業の具体例を示した。その結果、何をすればいいかわからず思考停止という生徒は少なかったと思う。机間巡視をしながら生徒の説明に耳を傾けると、荒唐無稽な説明ではないものの、資料に基づいていなかったり、教科書本文の内容とは関係ない内容を話していたり、要するに思考の過程で教科書本文と資料をうまく結びつけられていない生徒が結構いたのに驚いた。幸い班で作業をしたためそういった生徒も修正され、班発表の際にはおおむね問題ない発表に落ち着いた。
 
  • 改善策・課題
問題を作成している過程ではあまりに手取り足取りで、高校3年生に対する難易度としては不適当かと思っていた。しかし実践をしてみると、初めての作業形態であったためか、これでも生徒にとってはかなり難易度の高い、思考を用いる作業であったようである。(特に高校生という発達段階においては)計資料の読み取りは当時の社会背景を踏まえることでより深いレベルになることを生徒に伝えていく必要があると考えている。そのためにも統計資料の読解と社会背景の知識を結合する作業のやり方、方法論を具体的に教える必要がある。