世界史の糸

レオナルドやエジソンにはなれないけれど

ジェネラリストでもスペシャリストでもない、一教師の試行錯誤の記録。旧ブログ名:世界史の糸から改題しました。

授業に関する近況、雑感8 リーディング指導とシンキングツールの活用

 海外の教育関連の文献を読んでいるうちに、リーディング指導の重要性を認識するようになった。日本ではリーディングといえば国語の担当となる。しかし他教科で読み物を用いても何ら問題はない、というか学問を学ぶ上で読む行為は不可欠なはずで、受験指導によって講義と一問一答的問題演習に授業が「逸れて」しまっていると考えたほうがよいのかもしれない、と最近は考えている。とにかく教科書以外にもそれなりの長さの読み物に当たらせることは、生徒にとっても「年表を文章化」した教科書と比べイメージがわきやすいし、興味も駆り立てられるであろう。

 ここで考えねばならないのは、いかに資料を読ませるかである。「資料を載せておいたから、読んでおけ」では当然、生徒は読まない(と思う。少なくとも私の経験上ではほとんど読まない)。やはり何かしらの作業を設けるのが適当だろう。ではいかなる作業が考えられるか。

 まず以下のことを前提としたい。

 

A生徒が資料をしっかりと読み込むこと

B短時間の実施

C教員の負担軽減→文章添削などは最小限に

Dできるだけ頻繁に実施する

 

 これを踏まえたうえで、現実的な選択肢としてすぐに思いつくのは以下のようなものであろう。

 

1 何に関する資料かを答えさせる

2 穴埋め問題を作る

3 要約させる

3-1 文章でまとめる

3-2 シンキングツールでまとめる

3-2-1 教員がチェック

3-2-2 生徒同士でチェック

 

 このうち選択肢1と2に関してはすでに実施しており、それなりに成果をあげている。共通試験対策というお題目もあるため、生徒は素直に長い文章を読もうとする。上記3つの前提条件もほぼすべてクリアしており(資料準備が大変ではあるが)これはこれで続けていくべきだと考えている。

 しかしながらこの1と2に関しては、どうしても従来の一問一答的な要素を強く持っているような気がしてならない。もっと「読解」に焦点を当てた活動にできないものか。そう考えた場合、やはり選択肢3の要約という作業に手を付けざるを得ない。しかし要約作業は前提B~Dに抵触する。これを解決するために、3-2で示したシンキングツールの活用と、生徒同士のチェックを導入できないか考えている。

 シンキングツールは記入の枠組みが決まっているため、文章を書くよりも書き出しのハードルが低い。また「あれもこれも」という、結局ほぼすべてを資料から抜き出す、といったことも起こりにくい。キーワードで抜き出すケースが多いため、確認作業も負担が減るし、生徒同士での確認もやりやすくなる。記述内容がずれていたとしても、そこから生徒同士で議論につなげてもよい。

 用いるシンキングツールはなるべく汎用性の高いものがよい。今のところ使ってみようと思っているのは、クラゲチャート・改変スターチャート・プロットダイアグラムである。前者2つは文章からテーマとそれに関連する具体例をまとめることに、最後のプロットダイアグラムは時系列記述の資料に使いやすいかと思う。

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クラゲチャート

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改変スターチャート

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プロットダイアグラム



 もう少しアイデアを温めてから、授業で実践してみたいと思っている。その内容に関してはまたこの場で報告したい。

 歴史の授業でシンキングツールを活用している先生方、ぜひとも活用例を教えていただきたい。情報を共有して、良い授業を作っていきましょう。