世界史の糸

レオナルドやエジソンにはなれないけれど

ジェネラリストでもスペシャリストでもない、一教師の試行錯誤の記録。旧ブログ名:世界史の糸から改題しました。

授業実践:史料批判(インド大反乱)その2

 
A510日……3騎兵連隊1の全員が武装反乱を起こした。そしてただちに1マイルもはなれた監獄をおそって……4000人の政治犯2を釈放した。これを見て第20連隊…も反乱をおこして兵舎に火をつけた。……警察隊3がかけつけてきたと思うと, これがたちまち反乱軍といっしょになって,兵営を襲撃した。同時にメーラト中から民衆4が刀と梶棒をもってあらわれた…兵舎,役所,郵便局,教会,官舎街の順序で襲撃5していった。役人6という役人は見つかりしだい殺され,…財産はすべてうばいとられた。
                          出典:綿引弘『100時間の世界史資料と活用』139p
問1 【A】の下線部1、2、3、4、6はそれぞれどの国の人々と考えられるか。
問2 【A】の下線部5について、なぜこれらの場所を、この順序で襲撃したか考察せよ。
 
 
 
 ブログの記事を書こうと思って授業プリントを見ていたら、インド大反乱の問題が目についた。以前すでにこのブログ記事で取り上げたので、詳しくはそちらを参照してほしい。まだ資料・史料問題を自分で作り始めてから間もないこともあり、作成しながら自分でも「無理やり問題作ってるな」思ったことを覚えている。今問題を見返すと、もっと着目したいポイントがいくつか見えてきた。
 下線部3を見ると、当時イギリス支配下において、警察にインド人が採用されていたことがわかるし、下線部4からはインド人民衆が用いた武器に火器はあまり含まれていないようであることが読み取れる。教科書にはインド大反乱のきっかけと、反乱の特徴である広汎な参加層などが主に記述されるから、これらの情報は新たな知識とともに新たな疑問を生じさせもする。このあたりを、いかに生徒に読み取らせるか。
 よくある「この資料からわかったこと、疑問に思ったこと」で、生徒はこうした認識を持てるのだろうか。実践報告などを見るとそのあたりの指導法や実践方法はあまり記述がなく、まるで参加生徒がみな優秀かつ自主的にしっかりとした読解を行っているように読める。生徒が全く書けないんじゃないか、そう恐れて「わかったこと」を書きなさいという形式はほとんど実践してこなかった。しかし生徒はどの程度まで書けるのか,今年、自分もこの問題で「この資料からわかったこと、疑問に思ったこと」を実践してみよう、そう思った。