世界史の糸

レオナルドやエジソンにはなれないけれど

ジェネラリストでもスペシャリストでもない、一教師の試行錯誤の記録。旧ブログ名:世界史の糸から改題しました。

授業実践:ジャガイモ飢饉

資料ア、イは同じ国の出来事を絵にしたものである。ABCには以下のように書かれている。
A:Famine(飢饉) B:Potatos(じゃがいも) C:人口(1840年代から、年々減少している)
 
問1 資料アとイについての説明として適当なものを、以下の選択肢からそれぞれ一つ選べ。
イ)   国内で飢餓が起きているにも関わらず、じゃがいもをイギリスへ輸出している。
ロ)   イギリスから資料ア,イの国への出稼ぎ移民が多かった。
ハ)   資料ア,イの国から他国への移住が続き、人口が減少している。
ニ)   人口流出により、資料ア、イの国の人口割合は若年層が多くなった。
問2 資料アとイが示す国はどこか。
 
資料ア 出典:帝国書院『新詳世界史B』197p

 

資料イ 出典:実教出版『世界史B』271p

 

 

 
  • 対象学年 3年生
  • 想定所要時間 5分
  • 教員のねらい
 授業内容を踏まえたうえでの絵画資料を読み取りを行わせる。
  • 想定難易度
 アイルランドは生徒になじみがないうえに教科書でも扱いが小さく、難易度は高めである。Irelandと絵画に書き込まれているが、これも初めて見た生徒には国名を指していることがわからないかもしれない。選択肢形式にして、あえて教科書には明記されていない内容にまで踏み込んで問うた。
  • 実践してみた結果
 いつも通り、講義後ノーヒントで生徒に取り組ませた。じゃがいも飢饉のあたりから人口が激減していることに、まずは着目してほしい。しかしアイルランドの移民は多くがアメリカに向かったという知識から、海に見える船は移民船であること、うなだれている老人は移民によって若年層が減少していることを表すことなどまで思考できてほしい。選択肢の文言によってそのあたりのヒントを出していたつもりであったが、アイルランドイングランドの関係性をきちんと整理できていなかったり、絵画の細部をきちんと読み込んでいない生徒には、かなり難易度が高かったようである。しかし取り組みの姿勢自体は悪くなく、絵画資料に込められた意味を読み解く作業は生徒も楽しいようである。生徒が自分で絵画資料を読み解くために、どのような問題を作成するか、もしくはどのように指示や講義をするか。近現代史では史料も増えるため、やはりいかにそれを料理していくかが教師に求められていると思う。