世界史の糸

レオナルドやエジソンにはなれないけれど

ジェネラリストでもスペシャリストでもない、一教師の試行錯誤の記録。旧ブログ名:世界史の糸から改題しました。

授業に関する近況、雑感2 文学作品や漫画の活用

授業に関する近況、雑感2。文学作品や漫画の活用について。
 
 資料活用に関して、これまでは素材の多くを一次史料ないし新書などの二次資料から持ってきていたが、学習意欲の喚起や学習内容の理解の促進という観点から、「文学作品や漫画の活用」もできないかを考えている。社会科は暗記科目というイメージが流布している、だから生徒の学習意欲が下がる→学習意欲喚起のために工夫しよう!というのは社会科教員にとっては常識となっているが、しかしながらその工夫の具体的内容は?と問われると、少なくとも私はあまり明確に答えられない。
 視覚資料を使う、討論を行う、ICTを導入する、生徒にとって身近な問題と結びつける…これらは知識としては知っていても、いざ実践するとなると、どうやれば効果が出るのかはっきりしない。一応いずれも試してみたことはあるが、わかったことは単にこれらの手法を生徒に投げかけるだけでは効果は極めて小さいということである。例えば視覚資料でいうと、教科書・資料集の掲載資料を見るよう指示したり、ある絵画や写真などを大きく映し出して生徒に提示し、教員が解説を加える。大きく映し出したりするのは初回、2回目くらいは新規さで生徒が食いつくが、すぐに生徒は興味をなくす。教員が面白い・有益だと考える点を解説しても、生徒の反応はすこぶる鈍い。生徒は完全に受け身になってしまい、せっかくの資料もその教育効果は大きく減じてしまう。
 どのような手法を取ろうとも、生徒が(自発的とはいかないまでも)主体的に取り組めるような工夫をしないと、結局はすぐに陳腐化し効果がどんどんなくなっていってしまう。準備する側としては素材を探し出すだけでも一苦労で、その上さらに生徒が食いつくように調理せよというのはなかなか大変、というか昨今のいそがしさでは非現実的とすら感じてしまうほどである。
 ここで冒頭の「文学作品、漫画の活用」に戻ることになる。生徒の学習意欲を喚起しつつ受験知識も伝達する。しかもその際の資料作成において、一定の方法論に基づくことで、授業準備の効率化および文学作品・漫画資料活用の日常化を図る。という一挙両得の実現を狙い、最近先行研究を調べている。しかし意外にも関連文献は少なく、「文学作品や漫画の活用」およびその準備がいかになされているか(なされてきたか)、具体的な像を描くには至っていない。一応文学作品については校内の研修資料としてこれまでの調査をまとめた。漫画に関しても資料を収集中である。これらを踏まえ、一応来年の授業から文学作品ないし漫画を活用した授業を試みてみたい。それを踏まえて「文学作品や漫画の活用」の方法論みたいなものを構築できたらと思う。