世界史の糸

レオナルドやエジソンにはなれないけれど

ジェネラリストでもスペシャリストでもない、一教師の試行錯誤の記録。旧ブログ名:世界史の糸から改題しました。

授業に関する近況、雑感5。世界史学習漫画の活用について。

 以前の記事で書いたように、漫画の活用を考えているのだが、具体的にどのように使えばいいかアイデアが出ない。風刺画ではなく漫画をいかに授業で活用するか、先行研究を探していたところ以下の文献を手に入れた。
 
松村啓一、『日本史授業プリント マンガを活用、流れがわかる』、地歴社、1997年。
 
 穴埋めノート形式のプリントに、主に石ノ森章太郎のマンガ日本の歴史からの転載、という構成となっている。転載は1コマないし数コマ単位で、時代背景の解説や風俗、歴史事象の一場面の具体的なイメージを抱くことができるようなものを選んでいるようである。
 石ノ森章太郎の日本史マンガは50巻以上のボリュームのため、相当細かな描写が期待できる。世界史ではこれに類するものがないため、各出版社が出している学習漫画が候補となるであろうが、やはり描写不足は否めない部分もある。適当な漫画をご存じでしたら、ぜひご教授ください。
 ちなみに私は授業中ノート形式のプリントは現在用いていないため、上記の日本史プリントと同様の形式で漫画を活用することはしていない。しかしこの本を読みながら思いついたアイデアの一つが、kp法との組み合わせである。
 kp法はA4程度の紙を用いて紙芝居のようにプレゼンテーションをおこなう方法であり、アクティブラーニングとの関連で書籍も出ている。社会科教員にとって、従来「しゃべりすぎ」だった教員の説明を最小限にすませ、浮いた時間を生徒の主体的学習に回せるとして、魅力的な方法であると思う。私自身も実践していたのだが、生徒の傾聴をうまく引き出すことができず、最近はやめてしまっていた。原因として考えられるのは
 
1:教員の話術不足 
2:生徒が手を動かさないため=話を聞いているだけのため集中力が切れる(短時間で密度の高い説明をするため、板書をノートすることを生徒には勧めない。ノートしていると教員のkp法による説明についてこれない) 
3:短時間での説明と用いる紙のサイズ・枚数の制約上、固有名詞を網羅するのが困難である。結果的に抽象度の高い説明になりがちで、生徒の関心を失いやすい 
 
などである。このうち3に対しては、漫画を挿入することで具体性と関心の問題をある程度解決できるのでは、と思いついたのである。
 kp法で用いる漫画はプリントに印刷し、後ろの生徒もプリントで確認できるようにした。数回試行してみたが、漫画あり・なしで生徒がどのように感じているかは、まだよくわからない。学期末のアンケートで調査してみたいと思う。
 むしろ問題は、漫画の活用が極めて消極的なものにとどまってしまっていることである。漫画のコマについて、教員が深く説明・言及することはほとんどない。これは選んだコマがよくないこともあるだろうが、せっかく時間を捻出して選び、限りあるスペースに掲載したのに、「このコマに描かれている通り~」といった単に見るだけの作業で終わってしまうのはとてももったいない。しかしあまり探究的な活動になるとkp法を阻害する。割り切って「kp法の傾聴」「興味・関心を引く」「具体的な視覚イメージを持たせる」に目標を定めるべきかもしれない。
 漫画を活用している先生方、ぜひ具体的な活用例を教えてください。