実践記録:フランク王国
ゲルマン人国家の中で、フランク王国が強国として君臨した理由を、Y字チャートで考察せよ。
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対象学年 2年生
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想定所要時間 15分
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教員のねらい
教科書本文の長い文章で表される情報を、端的に見やすい図式に整理することでわかりやすくなることを理解させる。具体的方策として、今回はY字チャートの使い方と有効性について生徒に理解してもらうことを目的とする。
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想定難易度
Y字チャートに書き込む三つの要因は本来は自分で決めてよいが、今回は初めてのY字チャートであったため教員から「政治的側面」「宗教的側面」「地理的・地政学的側面」と最初から指定した。フランク王国に関する講義は一通り終えており、最後の「地理的・地政学的側面」以外は容易に埋まるはずである。「地理的・地政学的側面」に関しては諸ゲルマン人の中でも移動距離が短く、消耗・文化的変貌が少なかったなどの回答が考えられるが、教科書本文に記載されていないためヒントとして「距離」というキーワードを板書した。
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実践してみた結果
予想通り、「政治的側面」「宗教的側面」は比較的容易に埋められたが、「地理的・地政学的側面」は苦戦していた。グループワークで取り組ませたところ、9班中2班が「距離」という概念を用いて議論できていたが、ほかの班はそもそも議論にならなかった。黒板に書かせたところ、「地理的・地政学的側面」は「ビザンツ帝国からの距離が遠いため」と回答した。
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改善策・課題
当初の目的、情報の図式化とは全く別の課題が多く出てきた。グループワークの活性化のための取り組みをまず取り組む必要がある。教科書に書かれていないことだからこそ多人数による議論と推測が大事になるのだが、現段階のメンバーでは議論をするための土壌自体ができていない。「地理的・地政学的側面」の回答については、事前の講義でローマ教皇とビザンツ皇帝の教権をめぐる対立を扱っていたため、そちらに引きずられていたようである(ある意味、講義をしっかり聞いていたという証拠でもある。)。やはり生徒は「答えは教科書(資料集)にある」という固定概念にとらわれており、この姿勢を崩して自分の頭で考えるという態度をいかに育てるか、社会科教員としての責任を強く感じた。Y字チャート以外にも分析ツールはいくつもあるので、議論の活性化と能動的思考を目指して、具体的な活用方法を模索していきたい。