紹介:Copeland, L.(ed.), High School Subjects Self Taught,( Delacorte Pr,1967)
アメリカの独習用テキストを手に入れた。
アマゾンで『米国高等学校全教科独習書』と出てきたため、興味をひかれ購入した。アマゾンのデータでは言語は日本語だったが、日本語は序文だけで、本文はすべて英語。
アメリカの独習書ということで、さぞかし様々なー学習者のモチベーション維持とか学習内容の見取り図・まとめなどー工夫がされているのだろうと思いながらページを開いてみた。
すると目に飛び込んでくるのは文字の羅列で、基本的にイラストやチャートなどはほとんどない(歴史分野に限る。)。奥付を見ると初版は1930年代後半には出ていたようである。アメリカといえどもまだこの時代は学習者への多大な配慮はなかったのかもしれない。
学習プラン(わざわざ曜日や時間まで設定してある)の簡単な説明の後に載っている目次を見ると、歴史分野は「古代史概観」「中世史概観」「近現代史概観」「アメリカ史概観」の4つ。ページ数はそれぞれ約40・40・80・60ページ。
本文の後、学習内容を確認するための問いと参考文献が記されている。最近の問題関心から、この問いの部分に関していくつか訳出してみた。
「近現代史概観」Examination Questions
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大西洋を西へ横断したコロンブスが抱いていた野望は何か
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ルネサンスの間、知識の普及の推進剤となったのは何か
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教会が世俗的影響力を失ったのはいつごろか
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ジョン=ウィクリフとはどのような人物か
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宗教改革の主導者はだれか
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イングランドのヘンリ8世の右腕はだれか
こんな調子で設問が35問設けてある(古代史・中世史は50問、アメリカ史は35問。)設問の内容を見ると、独習テキストである=答え合わせが自分でできるようにするためか、What/Where/When/Who型の質問が多いように思われる。日本の一問一答形式の問題を思い起こさせるが、日本とは違い単語で回答できてしまうような問にはなっていないものも多い。模範解答のページを見ると多くは単語ではなくセンテンスで答えさせようとしているのがわかる。
本文にはまだほとんど目を通していないため、これから本格的に読んでみるのは悪くはないかもしれない。アメリカ的な視点を探してみたり、もしくは近年のアメリカ出版の歴史に関するテキストと比較して相違点を探すなど。ただ授業に活用できるかというと…翻訳しなければならないし、正直ちょっと労力にあった成果を得られないかもしれない。