世界史の糸

レオナルドやエジソンにはなれないけれど

ジェネラリストでもスペシャリストでもない、一教師の試行錯誤の記録。旧ブログ名:世界史の糸から改題しました。

実践記録:ユネスコ憲章

この憲章の当事国政府は,その国民に代わって次のとおり宣言する。戦争は人の心の中で生れるものであるから,人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。相互の風習と生活を知らないことは,人類の歴史を通じて世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であり,この疑惑と不信のために,諸人民の不一致があまりにもしばしば戦争となった。ここに終りを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・相互の尊重という民主主義の原理を否認し,これらの原理の代りに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教義をひろめることによって可能にされた戦争であった。文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育とは,人間の尊厳に欠くことのできないものであり、且つすべての国民が相互の援助及び相互の関心の精神をもつて果さなければならない神聖な義務である。〈『世界史資料』、東京法令〉
  1. 「ここに終りを告げた恐るべき大戦争」とは何を指しているか。
  2. この資料では、戦争の原因はなんとされているか。
  3. 「神聖な義務」とは何を指しているか。
 
 
  • 対象学年 3年生
  • 想定所要時間 5分
  • 教員のねらい
世界史を学ぶ意味・理由を、歴史的資料によって理解させる。
  • 想定難易度
 
WW2の学習が終わった後に行ったため、特に苦戦した様子はなかった。
 
  • 実践してみた結果
生徒にとって世界史=暗記・受験という認識が当然視されるなかで、世界史を学ぶ意義を授業中にいかに伝えるかを常に悩んでいる。話術が乏しい自分としては、授業開きに上から目線で世界史の意義を語るよりも、授業を進めながら史料を用いてだんだんと必要性を実感してもらえるような方法を模索している。
 
  • 改善策・課題
 とはいえ、授業開きで世界史の重要性を伝えないことには、その後の生徒の能動的な授業参加も望めない。世界史の意義の多くを伝えきることは難しくとも、なんとか学ぶ意味があることを実感させたい。今回の資料も、「中学の知識を活かそう」「資料の年月に着目しよう」などの助言を行えば、授業開きに用いることも十分可能であろう。問題形式でなくとも、教師の講義に補助資料で用いるのもありだろう(その場合話術が必要になるが。近年の高校生の読解力や意欲の欠如を甘くみてはいけない)。