世界史の糸

レオナルドやエジソンにはなれないけれど

ジェネラリストでもスペシャリストでもない、一教師の試行錯誤の記録。旧ブログ名:世界史の糸から改題しました。

授業に関する近況、雑感10 アイルランド人伝記事典、無料公開

  •  全然気づいていなかったが、いつの間にかDictionary of Irish Biography(DIB)が無料公開されていた。大学に所属してないと見れないとかそういった制限があるんだろうと思っていたら、関連記事を読む限り本当に一般公開されているようだ。興奮してアクセスしてみたら本当に無料で見ることができ、感動した。
  •  DIBはOxford Dictionary of National Biography(ODNB)と同様に学問的に信頼性の高いアイルランド人に関する伝記辞典であり、学生から研究者まで幅広く活用されている。
  •  日本でも近年、ブリテン史の興隆に伴い、特に近世におけるアイルランドに注目が集まっている*1。従来日本のアイルランド研究は古代ケルト近現代史(特に大飢饉、土地問題、文学、北アイルランド問題)に集中していたように思われるが、DIBの公開によって一般の人にも、ほかの時代についてのアイルランドの知識が得られやすくなるのではないだろうか。
  •  この調子でぜひ、ODNBやOxford English Dictionary (OED)も無料公開してもらえると、私のような研究リソースへのアクセスが限られている人間としてはありがたい限りである(余談だが、大学を卒業、修了したあとに電子ジャーナル等にアクセスできなくなるのは本当につらい。諸外国も同じなのだろうか?この点は早急に改善してほしい)。さすがに冊数が違うから、ちょっと難しいかもしれないが。
  •  日本史の辞典もぜひ一般公開を…期待するのはちょっと酷か。それとももう何か公開しているのか?有料のジャパンナレッジくらいしか思いつかない。何か情報あればぜひ教えていただきたい。
 

*1: 『思想』1063号、2012年の特集およびオーマイヤ・ジェーン,後藤はる美訳、「1641年 : 新しいコンテクストとパブリックな視角 (特集 社会史を再考する)」、『東洋大学人間科学総合研究所紀要』22号、2019年、147-157頁など。